会長挨拶
就任挨拶「力強い健全な業界へ」
本年5月の総会・理事会において、急遽会長を拝命いたしました。会員の皆様には日頃より当会活動へのご理解並びにご支援ご協力を賜り心より感謝申し上げます。
昨年から今年にかけて、残念なことですが、当会員企業様で重大な品質におけるコンプライアンス違反が2件発生しております。お客様をはじめ関係省庁様、また会員企業様を含めた社会全体に多大なご迷惑をお掛けしております。大変申し訳ございません。
個社はもとより業界全体の信用・信頼にかかわることであり、皆様の企業におかれましても今後このようなことがないように、今回の事例を重く受け止め、あらためて会員企業様に新たに制定いたしましたガイドラインに基づき、品質管理の徹底と再発防止をお願いする次第です。当会と致しましても、本不祥事を真摯に受け止め、業界の知恵と経験を結集し再発防止に努め、当業界の信頼回復に努めていきたいと思います。
昨今、ようやくコロナ禍の影響から社会が動き始めましたが、まだまだ予断を許せない厳しい状況が続いております。このコロナ禍の影響に加え米国はじめ各国の利上げによる金融市場の混乱、債務問題による中国経済の減速、昨今のウクライナ問題など先行きの見通しは依然としてすっきりしない状況です。今までのサプライチェーンをはじめとして、業界を取り巻く環境に大きな変化が出てきています。カーボンニュートラル、デジタルフォーメーション、米中対立、エネルギー、諸材料の高騰 等々我々を取り巻く環境変化のスピードが増してます。
このような状況下、歴史ある鋳鍛鋼業界を将来に継承し発展させていくために、今回のコロナ禍を乗り越え、個社では対応できない数々のハードルに皆様と向き合って対策を進めていくと共に技術・技能の検討、教育体制、規格の整備等の攻めの体制にも積極的に挑戦しております。新型コロナウイルス感染症拡大を考慮して、昨年3月1日以降、多くのの会合を書面審議ならびにオンライン会議との併用等を基本として活動してまいりました。下期以降、オンラインを残しつつ、徐々に対面に戻していく機会もにらみながら、2022年度の活動方針を下記としました。少なくともコロナ禍の影響は、上期は続くとの前提で、費用の効率的な支出、コスト削減の観点も考慮し、活動を進めてまいります。
<2022年度活動方針>
〔情報の共有・コミュニケーション強化〕
これまで、日本の鋳鍛鋼は高い技術力で製品を差別化・高付加価値化して、グローバル競争に打ち勝ってきましたが、このコロナ危機により社会・経済構造が大きく変化してきている中、世界中がこのポストコロナの構造変化をチャンスと捉えています。鋳鍛鋼業界もこの変化を発展的な変革に結びつけて行くためには、より多くの情報を共有し遅滞なく変化に対応できるように、より踏み込んだ議論ができるコミュニケーション力を強化していきます。
また、これまでコロナ禍で2年間対面開催が控えられていた各会議・部会・委員会等をコロナの収束を待って再開し、業界の情報共有のあり方について調査・研究し、当会の情報センター機能としての有り様を議論して参ります。
〔脱炭素化・DX対応等に向けて〕
先に政府がカーボンニュートラル(脱炭素)社会への大転換を表明したことに象徴されるように、グリーンイノベーション戦略(再生可能エネの拡大)、デジタルトランスフォーメション(DX)の推進、持続可能な開発目標(SDG'S)の実現など社会の方向性が大きく変わろうとしています。
産業全体としてCO2削減やSDGs(持続可能な開発目標)等、我々の企業活動は今や否応なく環境対応を迫られており業界としても重要な取組み課題になってきてます。国内外の基幹産業における重要部品の製造を担っている鋳鍛鋼業界がこの変化にどう対応し、社会に貢献するための技術開発や改善を進めるか、未来に向けた今後のあり方を考えていかなければなりません。
一方、膨大な国家プロジェクト予算の中、大きな商機と捉え、その活用についても、当業界としての仕組みつくりを検討していきます。
また製造業のDXへの取り組みが広がりをみせる中、企業の枠を超えてそれぞれが持つ情報を積極的に共有し、企業間の共創や協業が盛んになり、オープンイノベーションが当たり前に行われるようになりました。今後、顧客やサプライチェーンなどとビジネスをエコシステムに変革する取り組みが本格化して行くと思われます。鋳鍛鋼業界においても共通の課題を認識して業界全体の最適化を模索することが重要と考えます。
需要産業の動向や新興国勢との国際競争力について厳しい認識の中、個社では対応しきれない中長期の課題に対し、ベースとなる部分は共同で取り組む検討を進めていきます。
一方日本の製造業全体に対するサプライチェーンを維持強化するため国内調達回帰等の産業振興策を行政に働きかけることにも力を入れていきます。
〔発信力向上〕
昨年度から鋳鍛鋼業界の発信力向上を重要課題に掲げています。これまでも論文発表や技術講演会、賛助会員様と生産性UPの視点からの共同研究等、業界の内外の方々に働きかける活動に取り組んでまいりました。
一昨年、昨年はコロナ禍によって活動の停滞を余儀なくされましたが、コロナの収束後、行政の産業振興策との連携を図り、需要家業界の方々に我々の製品の品質の良さを強くアピールする展示会への出展やプレゼンをする機会を増やしていきます。
また、人材教育の支援、鋳鍛鋼業界の動向や諸課題への取組み状況・成果をプレスリリース、ホームページ、各種パンフレット等の媒体を用いてPRし、わかり易い情報発信を進めていきます。
〔技術・技能及び生産性・安全・教育の強化〕
日本のものづくり力を基盤とした高品質の素材・製品供給において、より一層の技術力向上に向け、各企業が切磋琢磨してそれぞれの技術・技能及び生産性・安全を もう一段アップをめざし、各部会で更なる活動の活性化、生産性向上やコスト低減等の技術改善、技能伝承等の人材の育成、国際競争力強化推進等の当業界の課題に関する議論を引続き推進していきます。
またその技術・技能を将来に引き継いでいくために、従来からの重点課題 ①国際競争力強化の為の技術革新・情報収集 ②若手・中堅の人材育成・教育 ③タイムリーな市場等の動向調査 ④安全活動・環境エネルギー活動の活性化、といった取り組みも引き続き積極的に活動推進していきます。
世界レベル感の視野を持って情報収集を図るとともに、当会の活動をさらに盛り立て、将来の刈り取りに向けた、明るく力強い意義と実りある活動を進めていきます。当会の活動へのご理解を賜り、積極的なご参加をお願いすると共に、鋳鍛鋼業界が「ONE TEAM」として盛り上がっていきたいと思います。
何卒よろしくお願い申し上げます。
一般社団法人 日本鋳鍛鋼会会長 太田 大介
過去の会長挨拶
令和6年(2024年) | 年頭挨拶(1月11日新年会にて) | 小野田 謙一 |
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令和5年(2023年) | 就任挨拶 | |
年頭挨拶 | 太田 大介 | |
令和4年(2022年) | 就任挨拶「力強い健全な業界へ」 | |
年頭挨拶 | 岩本 隆志 | |
令和3年(2021年) | 就任挨拶 | |
年頭挨拶 | 森 啓之 | |
令和2年(2020年) | 年頭挨拶(賀詞交歓会挨拶から) | |
平成31年/令和元年(2019年) | 就任挨拶(鋳鍛鋼業界の発信力向上に向けて) | |
年頭所感(賀詞交歓会挨拶から) | 天野 肇 | |
平成30年(2018年) | 年頭所感(賀詞交歓会挨拶から) | |
平成29年(2017年) | 就任挨拶(創立70周年記念祝賀会にて) | |
年頭所感 | 仲田 摩智 | |
平成28年(2016年) | 年頭所感 |