会長挨拶
年頭挨拶
新年あけましておめでとうございます。旧年中は、本会の運営に皆様のご支援とご協力を賜り、心より御礼申し上げます。本年も変わらぬご指導ご鞭撻の程、何卒宜しくお願い申し上げます。
2020年を振り返りますと、何よりコロナ禍の衝撃が世界の政治経済文化、人々の暮らしや働き方に至るまで様々な影響を与えた1年でございました。外出自粛、ソーシャルディスタンス確保、緊急事態宣言等の感染対策への対応、そうした中でのテレワークやオンライン会議に代表されるデジタルトランスフォーメーションへの対応等、従業員やその家族、取引先、地域社会に至るステークホルダーに対して責任を持ち、感染を抑え人命と健康とを守りながら事業経営に取り組まれた皆様方のご苦労はいかばかりであったか、と思わずにはいられません。
国際情勢においては、従来の米中貿易摩擦が収束しない上、コロナ禍が追い打ちをかけ、先が見えない状況が続きましたが、アメリカ大統領選が実施されたこと、またコロナワクチンの完成、接種開始を受けた株高など、年初から状況改善に向けた期待が高まっているところであり、こうした動きがとん挫することなく継続していくことを願ってやみません。
経済状況もコロナ一色と言っていい1年でした。航空業界や旅行業界が直面した需要消失、自動車の減産を受けた各産業における記録的な生産落ち込み、また航空機産業や造船業においては数年に渡る長期的な影響が懸念される等、一変した、先が見通せない経済環境のもと、各企業はキャッシュアウトを抑えざるを得ず、設備投資見送り、リスク回避の動きが強まっています。こうした経済動向を受け、鋳鍛鋼業界においては、鋳鋼、鍛鋼共に2020年度の生産量は前年度比でマイナスとなる見込みです。
昨年は、SDGs、ESG投資等、環境経営への志向が加速した1年でもございました。欧州各国だけでなく中国や日本政府までもが純ガソリン車の早い時期での販売中止をうたい、日本のメガバンクが石炭火力発電への融資を停止する、といった動きは、もはや押しとどめることの出来ない世界的潮流となっておりますが、この潮流は我々企業人が否応なしに対応を迫られているというだけでなく、新しいビジネスチャンスを見出す機会でもあると捉えるべきでありましょう。例えばデジタル技術の進展はこれをものづくり刷新のチャンスと捉え、我々の保有する各種技術とリンクさせること等で生産性向上や品質の向上へと結びつけていくことにより、鋳鍛鋼製品製造をより高いステージへと飛翔させることができるでしょう。鋳鍛鋼業界はこれまでもオイルショックや円高不況、リーマンショック等の経済環境激変に耐え、苦境を乗り越えてまいりました。この度の危機もまた乗り越えるべきものであり、また乗り越えることが出来るものと確信しております。また、会員企業の皆様がこうした苦境を乗り越えていけるよう、当会としても微力を尽くしてまいる所存でございます。
私は一昨年5月の就任の際、鋳鍛鋼業界の発信力向上を重要課題に掲げました。「鋳鍛鋼業は日本のものづくりを支える重要な産業である」との自負を持ちつつも、我々の製造する製品の良さをお客様や世間の方々にもっともっとご認識頂く、その為の活動に注力していきたいと考えております。これまでも論文発表や技術講演会、賛助会員様と共同での生産性UPの視点からの共同研究、業界PR等の業界外の方々に働きかける活動に取り組んでまいりました。昨年はコロナ禍によって活動の停滞を余儀なくされましたが、今年こそは我々の製品の品質の良さを強くアピールすべく、関係官庁の産業振興策との連携を図り、他業界の方々に我々の製品の品質の良さを強くアピールする為に展示会への出展やプレゼンの機会を得る等の新しい取り組みに着手して行きたく考えております。
この他に、従来重点課題としておりました①国際競争力強化の為の技術革新・情報収集②若手・中堅の人材育成・教育③タイムリーな市場等の動向調査④安全活動・環境エネルギー活動の活性化、といった取り組みも引き続き積極的に活動推進してまいります。当会の活動へのご理解を賜り、積極的なご参加をお願い致します。
昨年は56年振りに開催される筈であった東京オリンピックがコロナ禍で延期になるという一大事もございました。今年の開催に向け、感染対策等様々な困難が待ち受けるであろう、その困難さに思いをはせつつも、開催にこぎ着けられればそれは疫病禍に立ち向かう世界人類の連帯感を共有し、傷ついた世界各国の社会経済の復活が実感できる、未だかつてない歴史的なイベントになるものと期待して止みません。同じく困難に立ち向かう皆様にとって今年が回復の一年、良い一年になっていくことをご祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせて頂きます。
一般社団法人 日本鋳鍛鋼会会長 森 啓之(株式会社神戸製鋼所 常務執行役員)
過去の会長挨拶
令和6年(2024年) | 年頭挨拶(1月11日新年会にて) | 小野田 謙一 |
---|---|---|
令和5年(2023年) | 就任挨拶 | |
年頭挨拶 | 太田 大介 | |
令和4年(2022年) | 就任挨拶「力強い健全な業界へ」 | |
年頭挨拶 | 岩本 隆志 | |
令和3年(2021年) | 就任挨拶 | |
年頭挨拶 | 森 啓之 | |
令和2年(2020年) | 年頭挨拶(賀詞交歓会挨拶から) | |
平成31年/令和元年(2019年) | 就任挨拶(鋳鍛鋼業界の発信力向上に向けて) | |
年頭所感(賀詞交歓会挨拶から) | 天野 肇 | |
平成30年(2018年) | 年頭所感(賀詞交歓会挨拶から) | |
平成29年(2017年) | 就任挨拶(創立70周年記念祝賀会にて) | |
年頭所感 | 仲田 摩智 | |
平成28年(2016年) | 年頭所感 |